こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。
[2015.3.30] -[活動トピックス]
日本共産党の少人数学級の提言をお届けしました。
懇談では、大阪が大切にしてきた教育、「どんな困難な子どももみんな一緒に大きくなる!」を守りたいこと。
維新政治が、現場のこの思いを踏みにじっている気がしてならないことなど語られました。
チャレンジテストの実施についての混乱や、大阪府の教育長の辞任劇など、何よりも子どもたちへ犠牲があってはならない、そのことを大阪市や大阪府が肝に銘じて欲しいとも語られました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-04/2015030404_01_0.html
少人数学級は、保護者、教育関係者、国民の長年にわたる教育要求です。ところが安倍政権のもとで35人学級への移行が止まり、「子どもたちのために一刻も早く推進を」という声は全国に広がりました。日本共産党は繰り返し少人数学級を求め、はじめて安倍首相はわが党の質問に「さらに35人学級の実現にむけて努力をしていきたい」と答弁しました(2月23日衆議院予算委員会)。今こそ、国民の世論と運動によって、国の政策を35人学級推進に明確に転換させる時です。日本共産党はそのために、以下の提言を行います。
35人学級は2011年3月、全会一致で法律にもりこまれたものです(義務教育標準法改正)。小学校1年を35人学級にすることにし、附則で小学校2年以降も順次改定を検討・実施すると定めたのです。その翌年の2012年度予算では小学校2年を35人学級にするだけの予算もつきました。その後小学校3年、4年、5年というように35人学級が順次すすむはずでした。
ところが安倍政権となり、政府・財務省によって2013年も2014年も35人学級への動きが止められました。そればかりか2015年度予算編成では、「小学校1年も40人学級に戻せ」「教員をもっと減らせ」(財政制度等審議会)という議論が政府内でおき、文部科学省も35人学級推進の概算要求すら見送るという異常な事態におちいっていました。
これにたいして、日本共産党は全会一致で決めた35人学級の推進を行うべきだと安倍首相にただしました。今回、首相が「35人学級の実現にむけて努力をしていきたい」と答弁したことは、注目すべき重要な変化です。
少人数学級は、国民のきわめて切実な教育要求です。
学校では手厚いケアが必要な子どもが増え、学級崩壊や立ち歩き、トラブルの増加などさまざまな教育困難が広がっています。「40人という学級規模では学級経営が困難となっている」(中教審初等中等教育部会「提言」2010年)のです。また、少人数学級になれば勉強をていねいに見ることができ、子どもの発言や発表の機会も増えます。みんなで話し合いながら認識を深めていくなど学習のあり方も変わります。
世界に目をむければ、欧米では1学級30人以下が当たり前です。韓国でも35人学級編制を目標としています。まさに少人数学級は世界の流れです。
こうした状況があるからこそ、少人数学級は日本PTA全国協議会、全国レベルの校長会や教頭会、教育委員会の協議会、さまざまな教職員組合が求める、文字通りの国民的な要求になっているのです。全国知事会も「中長期的な教職員定数改善計画」の早期策定を求めています。
なお、財務省は「少人数学級に効果はない」といいますが、それは少人数学級の効果を示す世界と日本の多くのデータには目もくれない、たいへん乱暴な議論です。1人の教員が教える子どもの数が減れば、よりていねいに教えられることは誰が考えてもわかることです。それを否定するような姿勢はもうやめるべきです。
日本共産党は政府にたいし、首相の35人学級に努力するという答弁に基づき、国民的な要求である少人数学級の推進に誠実にとりくむことを強く求めます。その立場から、以下の提案を行います。
国の制度として小中学校を35人学級とし、年次計画で段階的に実施することを法律で定めます。この計画は、今後少子化により教職員が減ることを考えれば、わずかな予算で可能です。例えば国のデータ(2016年度から開始)により試算すれば、必要な国の予算(国庫負担金)は、初年度で約16億円、完成年度で約56億円です(別表)。地方負担を含む総額でも、それぞれ48億円、168億円です。この計画に自治体独自の努力が重なれば、より早く35人学級を全面実施できます。なお、人口急増地域等では教室増設の課題もあり、弾力的に対応できるようにします。
政府は「財源がない」ともいいますが、大企業には1兆6000億円もの減税を行い、政党と政治を腐らせている政党助成金320億円を続け、1機100億円のオスプレイを6機購入するなど軍事予算をふやしているではありませんか。35人学級は、その気になればただちに実行できるはずです。
政府の意見募集では「望ましい学級規模」として30人以下をあげた保護者は約8割に及んでいます。私たちは、子どもの状況、豊かな学びを考えたとき将来的には30人、さらに20数人の規模をめざすべきだと考えます。
子どもの変化という点では、高校も小中学校と同じです。特別支援学級や特別支援学校では、子どもの障害の重度重複化がすすんでいます。いずれも学級規模の縮小をすすめるべきです。また、子どもの変化等に応じてカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、通級指導教室や日本語教室の教員、養護教諭の複数配置、学校司書などが新たに必要となっています。学校に必ず配置すべき定数とし、拡充を急ぐべきです。
教職員は業務が増え続け、「過労死ラインで働いても授業準備や子どもと接する時間がとれない」という深刻な状態で苦しんでいます。また少人数学級への移行の見通しがないもとで都道府県等は教員の正規採用を手控え、非正規教員への依存が強まり、多くの教員が来年どうなるかわからない不安の中で働いています。子どもの教育を考えてもこうした状態の解消は急務であり、少人数学級による定数増はそのための重要な保障となります。
この十数年、各地で「子どものことを考えたら、国が動きだすのを待っていられない」と自治体独自の少人数学級が広がりました。その努力は貴重なものであり、子どもたちの豊かな成長・発達のために、自治体として積極的に少人数学級をすすめる努力がますます大切です。同時に、地方から政府に対して少人数学級を決断するように声をあげることが求められています。この二つの点で地方から少人数学級推進の大きな波を起こしていこうではありませんか。
なお、財務省が教員の「加配定数」(注)の大幅削減を主張していることは重大です。「加配定数」の多くは少人数教育のためのものであり、それが削られれば、地方独自の少人数学級はその支えを失うことになるからです。こうしたたくらみをいっさいやめさせるうえでも、地方からおおいに声をあげることが大切です。
(注)加配定数 法律に基づく「法定定数」とは別に、毎年政府の判断で予算をつけている教員定数
子どもは社会の希望です。ところが自民党政治は長年にわたり教育予算を抑制し、日本の教育予算の水準(公教育財政支出の対GDP比)はOECD(経済協力開発機構)諸国で最下位です。この状態から脱し、子どもの教育を大切にする国づくりが今こそ求められているのではないでしょうか。
子どもたちのために少人数学級推進の一点で国民的な共同を広げ、実現させていくことを心から呼びかけるものです。