こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。

昨日の最終本会議への傍聴、本当にありがとうございました。感想・まとめ ① 公立認定こども園化計画は、たんなる公立施設の大規模リストラ計画だ!

[2017.3.25] -[活動トピックス]

3月議会が終了しました。

38の議案と6つの請願の最終採決が行われ、終了しました。

この3月議会では、安倍自民・公明政権、維新政治(大阪)が一体となり、くらし破壊の暴走政治が推し進められ、そのおごりと腐敗が最悪の形(森友疑惑)となって次々明らかになる中で行われました。

八尾市でも、住民の福祉向上の立場ではなく、国の悪政を市民に押し付ける市政が、住民との間に矛盾を生みだしており、日本共産党議員団はその市民の思いをアンケート調査で明らかにし、今回の議会では最大限活用させていただきました。

 

この議会での特徴は2つあります。

5つの公立保育所への説明会の実施、存続等求める請願が議会に提出されたことです。

残念ながら、議会では賛成少数で採択とはなりませんでしたが、八尾市・市議会と子育て世代の考えや立場の違いがますますはっきりしてきました。

最終本会議での、この請願の採択に賛成する立場、反対する立場から討論が行われましたが、その中身を比較するとよくわかります。

まず、この公立認定こども園計画の真の目的は、公共施設の集約化にあります。

これは、政府主導で行われ、「これからは、人口がどんどん減る。公共施設を減らしてまとめ、面積を縮小していく方向を。」と予算や起債を使って誘導しています。

これにより、今全国で行われているのが、保育所・幼稚園の統廃合、小中項学校統廃合です。

このさい、就学前施設では、認定こども園化と集団規模、学校では小中一貫校がその推進役としての役割を果たしていることは、見逃すことはできません。

八尾市での公共施設の数を減らすための最大のターゲットが公立幼稚園です。現在19ある公立幼稚園を大幅に減らしたい!しかも公立幼稚園を希望する家庭も減少をしているので、口実もつけやすかったのでしょう。

7つ公立保育所と5つの公立幼稚園をくっつけて、5つの認定こども園化し、現在の2倍規模の公立認定こども園とする。この公立認定こども園は、3つは新たな場所で土地を買い、新設をします。2カ所は既存の公立保育所を使用します。

この事業は総額66億円、その大半は起債(借金)で、ここにも公共施設最適化のための起債などがつかわれており、公共施設を減らしていくための最先端、トップランナーを走っているのがわかります。

しかし、こんな計画を市民に押し付けようとしても、市民の要求、願いと大きく矛盾しており、今回の請願署名はその矛盾をさらにえぐりだしました。

簡単にその矛盾を指摘しておきたいと思います。

① 公立を減らした分、私立に委ねていく。しかし…歩いて通える、最も身近な公立の子育て施設が無くなる。(公立幼稚園が無くなる!)

公立幼稚園が小学校区で一つ配置されてきた意義とその役割が失われ、地域で子育てしたい!地域とともに子育てを!の願いと要求に矛盾します。

しかも、実害も出ます。公立の幼児教育を担っていた定員(公立幼稚園)を700人から800人減少させるが、それは私立の幼稚園か認定こども園へ行けばいいとしました。これを公と民の協働という名で行います。

しかし、現実には公立幼稚園と私立では、保育料に差があって、そのための補助などは皆無となっています。つまり明らかに経済的負担とそして通園距離(バスまで乗って!)が増えます。

計画では、私立の保育園が数多くあり、ここが認定こども園化し、そこに公立幼稚園希望者がある程度行ける、と試算をしていたようです。しかし、現在の待機児童の状況では、保育希望者が優先事項であり、幼児教育希望者

を大量に受け入れうことは非現実的となりました。

②集団規模の問題。

公立幼稚園の希望者が減っているのは事実です。しかし、集団規模が小さくなるからといって、休園にしたり、大規模化を一方的に行うことが適切なのでしょうか。

子どもの権利条約では、子どもの権利とは、”人間として大切にされること。”としています。”こどもの意見の尊重も”とても大切な権利としてとらえています。

なによりも、この幼稚園がここにあることを子どもたちがどうとらえているのか、集団の大きさを子どもたちがどうとらえているのか、指導する立場だけでなく一緒に考えていく必要があります。

そして、集団規模のみをとらえ、地域での子育てや、小学校への接続などを考えず、休園措置や廃園を強行するのは、子どもを”人間として大切にされる”という権利の対象としてではなく、子ども達を”管理の”対象ととらえているのではないでしょうか。

これは、公立幼稚園の休園問題の時に、保護者が請願を議会に提出されたときに、保護者から学ばせていただきました。”集団規模よりも大切なものがある。それはここで卒園したいという、子どもの思いだ!”と断言されていました。

② 再配置による、距離の変化。 子育て施設は身近なところに!の願いと要求に矛盾します。

保育所の場所が変わるということが、これほど大きな影響を与えるということが、請願の保護者の訴えから明らかになりました。

ある公立保育所とそこに通う家庭の配置を表にしたら、見事に公立保育所周辺から通っていることが明らかになりました。他の保育所・園でもその傾向はあるでしょう。(駅前の保育所は分析が必要ですが)

保育所の場所は、移すのではなく、増やすこと。これが子育て世代の願いであり要求です。待機児童解消の方向にも沿っています。

ここは、今回の請願の保護者の訴えで私自身も再認識したところです。

しかも、この根底には八尾市の子ども子育て支援事業計画の供給区域の設定の在り方があります。八尾市での供給区域は八尾市全体!小学校区でも中学校区でもありません。だからこの事業計画では平成33年度は待機児童がゼロとしていますが、八尾市を大きく4つに分けた西部が180分定員が空くから、南部や東部から移動して通いなさい!というものです。中学校区でいえば、一番遠くで比較すると、亀井中学校区から桂中学校区に通いなさいということです。

③この公共施設リストラ計画の口実に最大限利用されているのが、就学前なら認定こども園、学校では小中一貫校です。しかし中身の問題が…。

「公立保育所と幼稚園のいいところが引き継がれていくから、内容も変わらない。」「今、専門家である保育士や先生などが内容を検討中だから。」と公立認定こども園の教育・保育の中身に不安を持つ保護者へ説明を繰り返します。

しかし、これについては、今回山本南の保護者会のお手紙(最終本会議の共産党の請願討論で引用)ではっきりと論破されました。

「今、教育・保育の中身を検討中で、保護者の声も聞いて作り上げているというが、保護者として意見を聞かれたことは一度もない、そんな場は持たれていない。

保育に対する市の考え方や方向性は、今までと変わらないというが、全国の公立の認定子こども園の実践を見ていると大きく変化をしている。

だから、生活のすべてがどうなるかが知りたい。

なぜ保護者と一緒に考え、つくろうとしないのか。

決定したら合わせて下さいというのでしょうか。当時の子どもにかわって、また保護者として訴えたい!」

だいたい、平成31年度には開園としており、現在の在園児が引き継がれていくのに、未だに中身が検討中で言えない、開園までには、以上です。途中経過の説明会すら開かれていません。進んでいくのは土地の買収、建物の設計・建設です。

まさに箱もの先にありきです。

④志紀の公立認定こども園の騒音問題です。

八尾市は、この場所を子どもたちにとって最適の場所としました。議会での請願に反対する議員さんたちは、「最適だ」という市の考えを支持しました。

しかし、保護者が求めているのは、その最適の根拠を示してほしいということなのです。そのための専門家の測定と子どもたちへの影響を科学的に明らかにしてほしいとしています。

現在、乳幼児の音環境については、世界から見ても非常に遅れており、特に保育については皆無といえます。今、乳幼児に対する音環境の基準をつくり提案していこうと建築系の学会も動いています。

どうみても、志紀の認定こども園建設地は、自衛隊駐屯地と居住地の緩衝帯につくられるとしか思えません。しかも音が府営住宅にあたって反響しているということです。(これも請願者であるの保護者会の現地調査で明らかになった。)

⑤待機児童の急増

今回の公立認定こども園計画で大規模な公共施設をリストラしても、民間に委ねても、すべての子どもは受け入れることができる!とかんがえた根拠に、子ども子育て支援事業計画があります。

事業計画では、平成33年度には待機児童がゼロという見込みをたてているのです。

なぜなら子どもの数がどんどん減っていくから。それと、八尾市全体で待機ゼロにすればいいので、南のはしから北のはしまで移動することも前提(ひど!)

しかし、そのあてもみごと大外れ、待機・保留児童は減るどころかどんどん増えてきています。

一昨年120、次が180人、そして今回が250人。

この事業計画の中間見直しが求められています。大規模なニーズ調査を行って、正確な保育ニーズをつかむべきです。

 

今の段階で思いつくことを感想として書きました。不十分な点は今後補強していきたいと思います。

何よりも、今回の請願で感じたことです。

八尾市の計画は、”これから八尾市は人口がどんどん減る!だから公共施設は減らしていくんだ!”です。認定こども園とか集団規模とか言っていますが、その論拠は保護者の言葉で論破されています。

こんな計画を市民に押し付けていくことに未来があるでしょうか。語れるでしょうか?

むしろ私は、この5つの請願に未来を感じます。

「八尾市で子どもを産み、育てたい、だから声をあげたんだ、仲間と一緒に立ち上がったんだ!政治には無関心であっても無関係ではいられない、子どものために八尾市にものを言おう!議会に知ってもらおう!」

この力こそ八尾市の未来を切り開く力ではないのでしょうか。

人口減少への手立て、子育て世代の支援の充実、こどもの未来、そして八尾市の未来!

この請願は議会で採択はされませんでした。(賛成 共産・無所属の7人。説明会実施に賛成あと反対 維新3人。全部反対 自民・公明・市民ネット18人)

しかし、この請願に私は八尾市の未来を感じました。いまの八尾市政の在り方や議会の力関係には、まさに絶望的な思いを持ちますが、この力とともに未来を切り開いていく!その力をもっと、もっと広げていく。保育だけでなくすべての分野に!

あきらめないことが、勝つことです!