こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。

民間認定こども園の休園問題 「誰のための休園でしょうか?」専門家からの助言をいただきました

[2018.11.5] -[インフォメーション活動トピックス]

11月2日、3日の全国保育運動の行動と連動して、政府機関への聞き取りや保育研究所の所長に”民間認定こども園休園問題”についての助言をいただきました。

所長は、グッディという番組で、この問題を取り上げた時に、専門の立場から助言をされていた方です。

まず、所長が指摘されたのが、「子どもの人権にかかわる問題なのに、最初の段階から八尾市の対応が異常」だということ。

「2月に明らかになったわいせつ事象、子どもへの虐待事例にも当たるのではないのか。保護者が園に訴え、市に訴え、警察にも訴えた。次々と被害届も出て、市には保護者が続々と相談に行ったはず、でも市は動いていない。理解できない行為です。」

「児童福祉法24条1項には、保育の実施義務が記されており、認定こども園は直接契約でも待機・保留児童が解消されていない今、利用調整を行い、事実上の委託が行われている。保育所であっても、認定こども園であっても、保育の現場でこのようなことがあったならば、子どもを委託している市として、対応が必要である。逮捕されてから、起訴されてからも市は動いていない。異常です。

「本来ならば、市は所管の児童相談所に報告をし、連携を取り、在園児に何が起きてきたかを調査し、子供のケア、親が子どもにどう向き合きあうのかなども対応すべきだった。しかも5年前にも在園児から市に対して相談があったとも聞く。なぜその対応を行わないのか。通常では考えられません。

「この最初の対応、出発点から誤っていたのではないでしょうか。市が早くに手を打っていれば・・・。」

 

先生の指摘は続きました。

「この問題の原則は何か。私は、この番組の際、その議論をさせていただきました。それは、”子どもに対しての保育の継続です。”」

その立場に立って、市は法人に対して、指導を行っていたのでしょうか。

「わいせつ事象が発覚をした時の園の対応の在り方。どうすれば子ども達と保護者が安心して園で保育を受けることが出来るのか。その後の対応。市は指導をしたのでしょうか。

1回目、2回目の保護者説明会に市は出席していませんね。そこが肝心な場面だったのでは。

その園の姿勢と市の指導のあり方が、この園で子どもたちのためにいい保育をしたいという職員の思いとも矛盾をし、今日の事態を生み出したのではないでしょうか。」

 

休園に対する市の対応についてお聞きしました。

「市は、社会福祉法人へ責任を取らせることはできないと言っているようですが、それは勘違いをされているか、中核市になったばかりで混乱されているのではないでしょうか。」

「市には、認可権限が府から降りてきています。法人への指導監査権限もあります。」

兵庫県のゆめ工房の県主導による理事長解任、埼玉県の特別養護老人ホーム、あやグループへの県の対応、同じく埼玉県での保育園で園長の息子が起こしたトイレにカメラ事件で県主導の理事長・園長解任、新人事など例を提示していただきました。

「しかし、市は会計の不正処理などと違い、一職員のわいせつ行為であって、その職員も退職しているから園運営の問題であって、法人のあり方とは分けて考えると主張しています。」とお伝えすると、

「なぜ園が運営できないほど職員が辞められるのでしょうか。そのこと自身が既に法人案件です。子どもにとって保育が継続されるかどうかの瀬戸際です。マスコミの影響でと片付けられる問題ではありません。掘り下げる必要があります。」

「社会福祉法人には、定款があります。そこには、利用者のニーズにおいて、公益性の高い社会事業を行うことを目的としていると記されているはずです。

その土台は、事業の継続性です。そこに社会福祉法人の行う事業の意義がああります。だから社会福祉法人が事業を止め、解散をするとき、財産の処分は、諸官庁の承認を得る必要があり、他の社会福祉法人などに譲るか帰属をします。社会事業は、個人や法人のものではない、社会のものだからです。」

「この社会福祉法人は、この園の保育の継続のためにどんな努力をしたのでしょうか。

職員の多数が継続を希望しない、それをマスコミの影響で片付けて園の継続(休園)をやめてしまう。これではいけませんね。

子供のために保育の継続を考えるなら、職員が継続を希望するための努力を法人がすべきです。それが社会福祉法人の使命です。

会社ではなのですから、店員がいないのでお休みしますは通用しません。だから全国でもこんな例がありません。」

「市は、どのような指導ができるのでしょうか。」(質問)

「ありとあらゆる指導ができます。認定こども園の認可権限を持っているのですから。法人への指導監査権限もあるのですから。全国の例を見てください。」

「でも市は、人事刷新の権限はないと言っています。」(質問)

「人事権は法人の理事会、評議委員会の決定にあります。しかし、認可権限などあらゆる権限を駆使して、”保育の継続を求める大義ある指導”はできます。それが休園ということは、その指導がされていないのか、もしくはその度量、力量が不足していることも考えられます。」

「そもそも休園は誰のためですか?子どものためですか?そこが問われているのではないでしょうか。」

確かに、第4回目の10月30日の保護者説明会で、市は「法人そのものを残すためには、休園しかありません。」と言っていたらしい。

(保護者への録音を禁止し、議事録も作成しない、音源データーも情報公開に応じない、非公開の説明会なので本音が出たのでしょうか・・・?(個人的感想))

「しかも、待機・保留児童もいてるななら、なんの傷もついていない使える保育園をみすみす休園にするなんて考えられません。本当に待機・保留児童を解消するつもりなら、休園を回避してその場で保育の継続ができるよう、あらゆる権限を駆使して行動を起こすはずです。その度量と力量が求められるという事実もあるのですが・・・。」

問題点として以下ののことも指摘をされていました。

実施機関(子育て施設関連課)と法人指導機関(法人指導監査)が中核市や権限委譲で一体となってきています。

しかし、実施機関では、民間保育園、認定こども園に協力を願いうまくやっていかなくてはなりません。

一方、法人指導監査では厳しいことも指導・監査が必要です。相反するのではと危惧をしています。

とりわけ、民間へ過度に依存している市であれば、民間への配慮や遠慮が大きく働き働き、法人への指導監査に影響が出ないか懸念をします。

事実で検証をしてはなりません。

なぜなら犠牲になるのは子どもたちですから。

八尾市の今回の例が前例となって全国に広まらないか懸念をしますとも。

 

なるほど、子供第一に考えるなら答えはひとつ。「休園は誰のため?」「子どものため?」いえいえ「法人そのものを残す唯一の手段。」それが答えです。

では、休園は回避できるのか?

「店員がいません。しばらく休業します。」(かつて牛関係のチェーン店が定員不足で休業していたなあ(個人的感想))では通用せず。

なぜなら子どものための社会福祉法人が行う社会事業だから。

「職員が継続のために社会福祉法人としてすべきことを行うこと。」

「その指導権限は、八尾市に有り。中核市なので。」

政府機関での聞き取りでは、「八尾市がやらなくて誰がやるんですか。」と言ってました。「よく議会でも議論してください。」とも。