こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。
[2020.10.7] -[インフォメーション・活動トピックス]
9月議会に“いじめから子どもを守る条例案“が市長から提案され、最終本会議において日本共産党・大阪維新の会・新声の修正動議が可決され成立しました。
その経過をご報告しておきます。
そもそも八尾市では、いじめによる不登校という重大事態で調査、再調査が行われ、いずれも報告書が提出されています。
また、4月には中学生のいじめによる自死の重大事態調査が行われています。(6月議会に日本共産党が個人質問)
市会議員団は、2月にいじめ問題の学習会も行い、当事者子ども先生、専門家の声を受け止め、2つの報告書をよく理解し認識を深める努力をしてきました。
仮に条例が提案される場合は、「子どもの利益になるのか」「教育委員会との関係」など見極めることの確認もしてきました。
9月議会に提案されてきたいじめから子どもを守る条例案は、パブコメを経て“子どもの権利の尊重“が挿入されました。9月議会の冒頭本会議の日本共産党の越智議員の質疑では、この権利が子どもの権利条約に基づくものだと確認がされました。
文教常任委員会では、審査の中で寝屋川市の条例のように“子どもや学校、地域の責務を挿入すべき““いじめの禁止事項“をなぜ挿入しないのかという質問(公明)に対し、「子どもにプレッシャーを与える条例ではない。いじめ問題に市と市長としてどう取り組んでいくのかを示す条例案」と答弁(市長)がありました。
これらの答弁や市の姿勢を判断をし、日本共産党は問題点は修正し、足りない部分は追加する修正動議を提出するに至りました。
具体的には、第6条の「地域や市民へのいじめ問題のアプローチ」を“市が教育する”という表現から“市は広報“へ修正。
いじめ自死の重大事態の調査が行われている事態を受け、“命最優先”を挿入。この間の当事者・遺族への知る権利を保障する“情報提供”を挿入などです。
最終本会議では、日本共産党をはじめとした3会派の修正動議と公明・未来・無所属議員の提出した修正動議が2つ提案されることとなりました。
日本共産党は、いじめ問題の条例の修正動議を多数決で決するのは望ましくないと考え、もう一つの修正動議についても検討をしました。
しかし、もう一つの修正動議には、新たに“いじめを禁止する。市はいじめを許さない“という条項が新設されていました。日本共産党として質疑しました。「誰にいじめの禁止を求めているのか?」とお聞きすると、修正同義を提案した議員さんからは、「子どもにです。」と答弁がありました。
そもそもいじめとは、成長発展過程で誰にでも起こり得ることです。また現実に起きています。
八尾の重大事態の再調査報告書では、「いじめは深刻な人権侵害でありますが、成長途上のどの子も行いうることであリ、それを撲滅するのではなく、いじめに走るストレスをなくしていく努力と、いじめが起きたときに迅速に対応し、重大な被害にならないようにして、解決に導いていくことが大切である。」と指摘しています。
大人が法律や条例で禁止をするということが、いじめ問題の認識が極めて浅く、子どもの権利保障の観点、つまり子どもの権利条約の立場に立っていません。
今、必要なのは、八尾で起きているいじめの重大事態はじめとした“いじめの事実“への認識を深め、子ども、先生、専門家と共に協力をしてこの問題に向かい合っていくことです。
他の修正事項もいじめの被害を受けている子どもの安全確保優先や教育委員会とは別の相談機能を担保する文章が削除されて違う表現になっていました。これではこれら内容が担保できなくなってしまいます。
条文の建て付けや用語には一つ一つ意味があり、安易な修正によって修正者の意図にも反する内容になってしまうと本末転倒です。
よって日本共産党・大阪維新の会・新声の提案する修正動議を賛成をし、もう一つの修正動議には反対をしたものです。
しかし、大切なのはいじめ問題にどう向かい合っていくこだと思います。修正動議を提出したのは、考え方の違いはあれその思いは一緒だと思います。
今後、議会として、いじめ問題への認識を深めること、オンブスパーソン制度の学習を深めていくことなど取り組めていけたらと思います。
いじめ問題は条例では解決しません。学校現場、教育委員会での変革こそ切に求めます。