こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。
[2024.12.6] -[インフォメーション・活動トピックス]
12月3日(火)に八尾市内の保育虐待問題を質問しました。
現段階で質問によって明らかになったことを、情報公開資料を補足して報告したいと思います。
まず、八尾市の保育虐待に対する姿勢は国のガイドラインにも反していると言うことです。
そもそも保育虐待や不適切保育はようやく社会問題化されてきており、現在国や自治体が保育関係施設とともに積極的に向かい合っていこうという段階です。こども家庭庁のガイドラインもR5年に作成され、法改正も検討されています。
現実には、結局保護者がボイスレコーダーを入れ、メディアの力で園や行政をようやく動かしているケースや表沙汰にならず泣き寝入りをしているケースなどあるようです。
一方で、国のガイドラインを踏まえながら、保育虐待や不適切保育が明らかになった場合、積極的に対応している自治体もけっこうあります。
八尾市における今回の保育虐待への対応の問題点について指摘します。
① 保育虐待への対応の甘さ ”園が危険の排除を行わないことをそのまま保護者に伝える”
保護者がボイスレコーダーを市に持ち込んだ6月5日。保護者の相談記録や直接保護者からの聞き取りで明らかになりました。個人質問では時間がなくて扱っていません。市は、保護者のボイスレコーダーの一部分を聞き、その後園の責任者を来庁させ聞き取り確認を行い、心理的虐待を確認しました。翌日に当該クラス説明会が開かれることになるのですが、園はこの虐待をしている保育士たちを引き続き同じクラス担任体制で第三者がクラスに入るという対応をすると担当課に伝え、担当課はそのままその旨の概要を保護者に伝えています。この園の判断をそのまま保護者に伝えたという危機意識の甘さがあります。結果的には、保護者からの苦情によって保育士は現場から外されました。(諭旨退職)本来、危険は排除されるべきです。
② こども家庭庁の”保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン”に反している
園は、ボイスレコーダーが市と園に持ち込まれた翌日に当該クラスだけ説明会を持ちました。しかし、情報公開資料で判明するのですが、園は保育虐待という認識がなく、頑なに不適切保育(保育虐待の疑いなど)という立場に立っていました。市はこのことについて修正を求めています。また、市が個々の保育士の問題ではなく、人権意識を持たせることができなかった園と法人の責任を組織的な問題として総括するよう求めていました。だから即開かれた園のクラス説明会や個別対応の説明は、保育虐待があったという報告は一切なく、3人の保育士さんが辞めましたという内容で、保護者が補足説明をせざる得ないという状況でした。このクラス説明会の内容を市が把握をしているのかと確認すると、「してません。ちゃんとやっているものと考えます」とあまりにも無責任な答弁が返ってきました。保護者の要望もあり、市としても保護者全体の説明会を求めているものの、園は応じておらず、この6月6日の不十分な説明会以降半年近くも説明会が開かれていません。もちろん特別指導監査が実施されていることも知らされていません。ガイドラインでは、「虐待等が行われた経緯や今後の保育所等としての対応方針等について、保育所等を利用する子供の保護者に対して、丁寧に説明をし、理解を得ることが重要である。」としています。八尾市の対応は、ガイドラインに沿っておらず、園任せになっています。その結果、園に通っている保護者でも事実を知らない、現場でも共有できているのか?など起きています。直ちに市が指導監督権限を行使して園に説明会を開かせるべきです。
③ 虐待に晒された子どもたちの状態に寄り添おうとせず、園任せで保護者からは不安の声が。
虐待に晒された子どもたちが、毎晩夜泣き。1人になると「地獄に落とされる、トイレに閉じ込められる」と泣き出す。保育園に行くのを毎日泣いて嫌がる、便秘で通院など子どもたちに異変が起きていました。ようやく虐待から解放され、ようやく抑圧されていた自分の思いを『いや』という形で表現できるようになった子どもたち。しかし、そのこどもの姿をヒステリーを起こしているなど、断面的に受け止める園のあり方に、本当に情報が共有されておるのか、子供の心のケアを軽視しているのではと不安の声が上がっています。また、朝の体制は虐待時より脆弱になっており、時間帯によっては、泣いている子が放置されたり、玄関まで出て行ったり手が回っていない様子が傍目でもわかるそうです。より一層ケアが必要な時です。園が保育士を確保できないならば、市として保育士の派遣に踏み切るべきです。そして子供の心のケアを考えるならば臨床心理士の覇権も検討すべきです。しかし答弁はその気はありませんでした。
ちなみにこの園と法人について、市は虐待は個々の保育士の問題だけではなく、「第三者が見れば園長のマネジメントが機能していないことが今回の事案の背景にあることが読み取れる」と指摘しています。「雇用する保育士に人権意識を教えることができていなかった法人及び園長の責任について経緯報告書に修正記載を行うよう」求めています。組織として課題があることを認識していながら、園任せにすることは無責任ではないでしょうか。
④ 公表について 国のガイドラインの趣旨を理解せず。
ガイドラインには「事案の性質や重大性に応じ、事案の公表等の対応も判断していくことが重要である。公表は保育所等における虐待等の防止に向けた各自治体の取り組みに反映していくことを目的とするものであり、公表することにより当該施設に対して制裁を与えることを目的とするものではないことに配慮する」とあります。隠すのではなく共有して社会全体で取り組んでいこうという姿勢が表れています。ところが、八尾市として独自基準を作り、身体的虐待で命にかかわらないとか改善がなされているとし今回は処分も公表もしないとしました。改善されたら公表しないというのは、改善されない場合に公表となります。まさに制裁的措置であり、公表という行為をこのように捉えていること事態が、保育虐待に向き合う姿勢を理解していないのではと感じます。この姿勢が、情報公開資料に記載されていた「現在は沈静化しているが、予断は許さない」の市の見解につながると実感しました。保護者にも正確な情報を伝えず、表沙汰になってないが、録音データーは真実を物語るからです。
また、ガイドラインに要請のある国への報告も、ニュース23で報道されてから、国から聞き取りがあり報告したということです。
⑤ 防犯カメラと映像データー、ボイスレコーダーを確認しているという答弁について 6月3日と4日の防犯カメラの映像データーが無い❓❗️本当なのか
ガイドラインでは虐待等と判断した場合に、「助言・指導を行う立場である市町村として丁寧に把握することが重要である」としています。しかし、保護者の録音データーも一部分しか確認をしておらず、防犯カメラと映像データーについてはどこまで何を確認しているのかいっさい答えませんでした。
なぜでしょうか。
時間がなかったので、ズバリ聞きました。「関係者から6月3日、4日の保護者が録音をした日の防犯カメラの映像データーがないと園が言っていると聞いたか事実なのか、この映像を市として確認したのか」っと。するとこれも「お答えできません」でした。答えることができないのです。庇っているとしか思えませんでした。
時間切れで突っ込めなかったのですが、この映像データーを確認する必要性を市は認識しているのか聞けばよかった。後になっての後悔です。
質問を通しての感想は、当該保護者の皆さんと同じです。行政の姿勢があまりにも子どもや保護者に寄り添っていない。国のガイドラインにも沿っていない、一体誰の立場に立って虐待問題に取り組んでいるのか。
保育虐待を社会全体で現場とも一緒に取り組んで、子どもをどう守るのか保護者の理解と納得を得て解決していこうという姿勢を持つべきです。
八尾ではかつてファミサポ事故での重篤になった乳児、民間園での性的虐待、そして今回の保育士による保育虐待。過去の経験から何を学んでいるんでしょうか。
現在、八尾市内でR5年度で 保育虐待が2件、不適切保育が8件起きています。今回のように特別指導監査に至ったケースは初めてですが、決して他人事ではありません。明日はもしかしたら我が子かもしれません。だから隠すのではなく共有し、社会みんなで考えていこう。個々の保育士の問題、個々の保育園の問題ではなく組織のあり方や背景にも言及して考えていこうというのが現在の到達点です。八尾市は遅れているのではないでしょうか。中核市にあるにもかかわらず。
現在、引き続き情報公開を請求しています。いろんな事実がまだまだ出てくると思いますが、残念ながら12月議会での発言のチャンスはもうありません。日本共産党の議席が少なすぎる!痛恨の思いです。