こんにちは。日本共産党八尾市議会議員 田中裕子です。

遠足の主役は万博ではなく子どもたちだったのでは…

[2026.10.31] -[インフォメーション・活動トピックス]

 

 「無事に帰ってきて胸をなでおろした」――1億円をかけた万博遠足、それでよかったのか?

 

万博で学べたことと、万博を一律に遠足先としたことの是非は別問題です。

10月8日の八尾市議会・決算委員会で、万博遠足について質問しました。

大阪府の無料招待事業として実施された万博遠足。八尾市では約1億円をかけてバスを手配し、小中学校の子どもたちが参加しました。

教育委員会は、国際理解や未来社会について学ぶ貴重な機会になったと評価しています。

しかし、本当に「行ってよかった」だけで終わらせていいのでしょうか。

大阪府の無料招待――多くの学校が参加を見送った

大阪府の無料招待事業は、府内の児童生徒約85万人が対象でした。

しかし、学校行事として参加したのは約40万人。欠席後などに個別で参加した子どもを加えても、約4割が参加しなかったと、決算委員会で指摘しました。

なぜ、これほど多くの学校や子どもたちが参加を見送ったのでしょうか。

万博会場の安全性、メタンガスの問題、交通アクセス、熱中症への不安、引率する教職員の負担など、さまざまな課題がありました。

無料招待であっても、学校が子どもたちを連れていく教育活動です。

参加しなかった自治体や学校が少なくなかったという事実を、どう受け止めるのか。そこをまず問いました。

八尾市では想定の約2倍、1,300人を超える欠席者

八尾市では、小学生1万1,265人、中学生5,390人、合計1万6,655人が万博遠足に参加しました。

一方、欠席者は小学生782人、中学生536人、合わせて1,318人。約7.3%にあたります。

市が事前に想定していた欠席者は、不登校の児童生徒数をもとに約650人でした。

実際には、その約2倍の子どもたちが欠席したのです。

教育委員会は、大部分の子どもたちが参加したことを評価しました。

しかし、私はこう指摘しました。

「教育というのは、数が多い少ないでははかれないものがある。99%の子が右を向いていても、1%の子が左を向いたときに、なぜ左を向いているのか、そこに何があるのかを考える。それが教育ではないでしょうか」

なぜ、これだけの子どもたちが参加しなかったのか。

その理由や背景にこそ、目を向ける必要があります。

酷暑の7月・8月に遠足を実施した3校では

今回の質疑では、特に暑さが厳しい7月・8月に万博遠足を実施した3校について、具体的な参加状況を確認しました。

市の答弁で明らかになったのは、次の数字です。

学校・学年

対象者

参加者

欠席者

小学校2年生

109人

93人

16人

中学校3年生

93人

78人

15人

中学校1年生

103人

94人

9人

合計

305人

265人

40人

3校合わせて305人のうち40人、約13%が欠席していました。

 

小学校低学年の子どもたちを、厳しい暑さの中で万博会場に連れていく。

子どもたちの体調管理、熱中症対策、移動中や会場内での安全確保など、先生方がどれほど神経を使われたことでしょう。

もちろん、欠席の理由がすべて暑さへの不安だったとは言えません。また、通常の遠足と比較した欠席率も把握できていません。

しかし、これだけの欠席者が出ていたことは、見過ごせない数字だと思います。

なぜ、あえて酷暑の中で万博遠足を実施しなければならなかったのか。

学校の行事として、子どもたちの安全と安心を最優先にした判断だったのか。改めて検証する必要があります。

 

欠席者のためのチケットも、大半は利用されなかった

 

八尾市は、万博遠足を欠席した子どもが、後日、保護者と一緒に万博へ行けるよう、保護者1人分の無料チケットを市独自で用意していました。

ところが、実際に利用された保護者用チケットは317枚でした。

欠席者約1,300人に対して、およそ4人に1人分です。

つまり、学校の遠足を欠席した子どもたちの多くは、後日、家族で万博へ行くという形にもつながらなかったと考えられます。

チケットを用意すれば解決する問題ではなかったのではないでしょうか。

なぜ行かなかったのか。行きたくても行けなかったのか。それとも、そもそも行くことを望んでいなかったのか。

一人ひとりの事情や思いは異なります。

 

子どもたちや保護者の間にも分断が生まれた

 

万博遠足をめぐっては、保護者の間でもさまざまな考えがありました。

参加させたいという家庭、参加を見送りたいという家庭。子ども自身の思いも、それぞれだったでしょう。

私は、この万博遠足が、子どもたちや保護者の間に分断を生み出したのではないかと指摘しました。

 学校行事である遠足が、子どもや保護者にこうした判断を迫ることになった。そのこと自体を、もっと重く受け止めるべきだと思います。

 

「無事に帰ってきて胸をなでおろした」――それほどの遠足だった

 

もう一つ、強く指摘したのが、学校現場の負担です。

先生方は、従来の校外学習とは比較にならないほど、子どもたちの安全確保に気を配られたのではないでしょうか。

特に酷暑の中での熱中症対策です。

教育委員会も、先生方の安全対策への努力や苦労を認めたうえで、バスを利用できたことは学校現場からも助かったという声があったと答弁しました。

子どもたちが未来社会や国際的なことを学ぶ有意義な機会になったという評価も紹介されました。

先生方のご努力には、本当に頭が下がります。

しかし一方で、遠足を無事に終え、子どもたちが帰ってきて、ようやく胸をなでおろした――。

そんな状況だったことも指摘しました。

「1億円のバスを仕立ててまで、胸をなでおろす。そんな遠足が果たして適切やったかどうか」

これが私の問いです。

バスを用意したこと自体が悪いという話ではありません。

子どもたちを安全に移動させるために、バスが必要だったことも理解できます。

しかし、そもそも多額の費用をかけ、先生方に大きな負担をかけてまで、一律に万博を遠足先とする必要があったのか。

そこを問わなければならないと思います。

万博であれ、どこであれ、遠足は教育活動

教育委員会は、万博遠足で国際理解や未来社会について学び、子どもたちにとって有意義な校外学習になったと答弁しました。

私は、その教育効果まで否定するものではありません。

「万博であろうが、どこであろうが、遠足というのは教育活動です」

先生方は、どんな場所への遠足でも、子どもたちが仲間と学び、体験し、達成感を得られるように、教育活動をつくり上げます。

万博でも、先生方の努力によって、教育的な成果が得られたはずです。

しかし、だからといって、万博を一律に遠足先とした判断が正しかったことにはなりません。

万博で教育効果があったことと、万博を遠足先に選んだことの妥当性は、別の問題です。

 

「行ってよかった」だけでは済まされない課題がある

 

今回の万博遠足を振り返ると、いくつもの課題が浮かび上がります。

  • 大阪府の無料招待事業に、多くの自治体や学校が参加しなかったこと。
  • 八尾市でも想定を大きく超える欠席者がいたこと。
  • 酷暑の7月・8月に実施した3校では、305人中40人が欠席していたこと。
  • 欠席者のために用意した保護者用チケットの利用が少なかったこと。
  • 子どもや保護者の間に異なる判断や分断が生まれたこと。
  • 教職員が従来の遠足とは異なる大きな負担を背負ったこと。

そして何より、約1億円ものバス経費をかけて、一律に万博遠足を実施したことが妥当だったのかという問題です。

万博で楽しい思い出をつくった子どもたちもいたでしょう。先生方の努力によって生まれた学びも大切にしたいと思います。

だからこそ、その成果をもって、すべてを「よかった」で済ませてはならないと思います。

 

遠足の主役は万博ではありません。子どもたちです。

子どもたち一人ひとりの思いと安全、そして学校現場の自主性と教育的判断が何よりも尊重されるべきです。

「無事に帰ってきて胸をなでおろす」遠足ではなく、子どもも先生も安心して学び、楽しめる遠足であってほしい。

今回の決算審査で、改めてそのことを強く感じました。

田中ゆうこ/八尾市会議員

2026年10月8日 八尾市議会予算決算常任委員会・文教分科会での質疑より